太陽光発電の保険は、かつての「安価で加入しやすい時代」から、現在は「保険料の高騰・引き受け厳格化・盗難免責(補償外)」という非常に厳しい局面であると言えます。
過去から現在までの大きな流れをまとめました。

1.過去:普及期〜安定期(〜2017年頃)

太陽光発電が急速に普及し始めた当初の状況です。

  • 保険料は割安:リスクデータが少なかったこともあり、保険料は比較的安価でした。
  • 長期契約が可能:火災保険などは10年一括契約が可能で、長期間のリスクヘッジが容易でした。
  • 加入が容易:審査も現在ほど厳しくなく、多くの発電所がスムーズに加入できていました。

2.過渡期:自然災害の多発(2018年〜2022年頃)

気候変動による災害が増え、保険会社の収支が悪化し始めました。

  • 自然災害の激甚化:大型台風、水害、雹(ひょう)、豪雪などにより、パネル破損や架台崩落などの事故が急増。
  • 保険金の支払い増:損害保険会社が支払う保険金が増加し、この頃から徐々に保険料の値上げや、条件の見直し(免責金額の設定など)が始まりました。

3.現状:盗難被害と厳格化(2022年〜現在)

現在は「ケーブル盗難の爆発的増加」と「更なる災害リスク」により、状況が一変しています。特に2024年以降、以下の傾向が顕著です。

 ケーブル盗難による損害率悪化

  • 被害の急増:銅価格の高騰を背景に、ケーブル(銅線)の盗難が多発。特に北関東(茨城・栃木・群馬)での被害が甚大です。
  • 20倍の支払い:盗難による保険金支払いは、2017年比で約20倍規模に膨れ上がっているデータもあります。

 保険料の劇的な値上げ(2024年10月改定など)

  • 火災保険:以前の約2倍近くに高騰するケースが多発。
  • 休業補償(売電補償):特に値上げ幅が大きく、従来の約6倍になるケースも見られます。
  • 地域差:盗難多発地域(北関東など)や災害リスクが高い地域では、さらに割高な料率が適用されます。

 引受条件の厳格化(「入れない」リスク)

  • 盗難免責:「盗難被害は補償しない」という条件付きでなければ加入できないケースが増えています。
  • 契約期間の短縮:10年などの長期契約はほぼ不可能になり、1年更新が主流です。
  • 加入拒否:過去に事故歴がある発電所や、セキュリティ対策(フェンス・カメラ・警報機など)が不十分な発電所は、更新や新規加入を断られる事例が増えています。
  • 免責金額の増額:事故時の自己負担額(免責)が高額(例:10万円→50万円〜100万円)に設定されることが一般的になりました。

 

まとめ比較表

項目 過去(〜2017年頃) 現在(2024年〜)
保険料 安価・安定的 高騰(火災約2倍、休業約6倍の例も)
主なリスク 初期の機器不良など ケーブル盗難、激甚災害(雹・水災)
契約期間 長期(10年など)可能 **短期(1年)**が主流
盗難補償 通常セット **対象外(免責)**や高額オプション化
加入審査 比較的容易 非常に厳しい(セキュリティ対策必須)

 

今後の対策

現在は保険だけに頼ることが難しくなっています。保険に加入(または更新)するためには、「金属ケーブルからアルミケーブルへの交換」や「防犯カメラ・強固なフェンスの設置」など、物理的な防犯対策を行う必要があります。

太陽光発電所における「盗難」の状況は、2019年ころまでは多くありませんでした。しかし、現在は「組織犯罪による略奪の時代」へと完全にフェーズが変わってしまいました。

過去から現在までの状況を、「被害の対象」「犯行手口」「影響」の観点でまとめました。

過去:平和な時代(〜2019年頃)

この頃は、盗難といえば「出来心」のような小規模なものが中心でした。

  • 被害の対象:敷地内のフェンス、看板、あるいは置いてある工具など、換金性の低いものが散発的に盗まれる程度。
  • 犯行手口:単独犯による衝動的な犯行が多く、対策も「立入禁止」の看板や簡易的なフェンスで十分でした。
  • 状況:「太陽光はメンテナンスフリーで、置いておけば稼ぐ」という認識が強く、防犯コストをかける事業者は稀でした。保険も盗難補償は「おまけ」のような扱いで安価に付帯されていました。

転換期:銅価格上昇と予兆(2020年〜2022年頃)

コロナ禍以降、世界的な銅価格の上昇とともに雲行きが怪しくなります。

  • 変化:銅のスクラップ価格が上がり始め、転売目的でケーブルが狙われる事例が出始めました。
  • エリア:まだ局所的でしたが、人目のつかない山間部の発電所などで被害報告が上がり始めました。

現在:組織的略奪の時代(2023年〜)

現在は**「銅線ケーブル」**を狙った組織的な犯行が爆発的に増加し、異常事態となっています。

 被害の激増と特定地域への集中

  • 件数の爆増:金属盗の認知件数は2020年比で約3倍以上に急増。
  • ターゲット:パネルではなく、**送電用銅線ケーブル(特に太い幹線)**が切断され、根こそぎ持ち去られます。
  • 激戦区:**北関東(茨城・栃木・群馬・千葉)**に被害が集中しています。平地でアクセスが良く、解体ヤード(盗品買取の可能性がある施設)が近隣に多いことが理由とされています。

 犯行手口の凶悪化・組織化

  • プロの犯行:以前のような「こっそり侵入」ではなく、夜間に複数人のグループで大胆に侵入します。
  • 手口:フェンスを破壊し、通電中の高圧ケーブルを専門工具で切断するなど、電気知識を持ったグループの関与が疑われています。数分〜数十分で数百メートル分を盗み去る早業です。
  • 繰り返し被害:一度盗まれた発電所は「警備が甘い」「復旧して新品のケーブルがある」として、2回、3回と繰り返し狙われるケースも多発しています。

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